年中行事の意味

更新日:2021年02月16日

多良間神社祭

多良間神社祭は、土原豊見親を祀る多良間神社の恒例祭である。
明治35年に神社が建立され、1月20日に鎮座祭がおこなわれて以来、その日を祭日として続いてきた。
昭和45年の改築に伴って、11月の吉日に執り行うことになっていたが、昭和55年から新暦の11月20日に変更された。その後、肉用牛セリ市の日程の都合により、平成10年から11月10日に開催されるようになり現在に至っている。

行事は、午前9時頃から始まる。酒、ご馳走、生の芋、大根、雑穀などを供える。
行事、接待は両字の実行員が中心になって進める。この役をシンカク(先格)という。

参加者は、神社のツカサ、二才頭をはじめ各御嶽の二才頭、村役場の職員、小学校や中学校の職員、その他の官公庁の代表などで、その日は小中学校の児童・生徒も神社に参詣し、土原豊見親をたたえる頌徳歌を歌っていたが、昭和57年から小学校・中学校の校長が代表して参詣するだけで、児童生徒や職員の参詣も取り止めとなった。

拝礼に当たっては、祭事の中心者(村長)によって祈詞が朗読される。

なお、この神社を建立した進藤栄氏が作った数え歌並びに後年作られた頌徳歌も歌唱する。
祭事が終わると、お供えの酒やご馳走をいただきながら楽しむ。

(多良間村史第4巻 資料編3 民俗 260ページより)

マッツー

旧暦九月、ウガンプトキから九日目に行われる。酒肴を火の神、仏壇、守護神にお供えする。

この日は竜宮の神が各畑を回って種蒔きをするといわれており、それで前日の午後から畑仕事を休む。

夜はユタが神がかりして来年の予言をする慣わしであった。
また、子供達は凧を作り揚げて遊んでいた。

ウガンプトキ

旧暦九月に行われる御嶽解きの行事である。
各御嶽を始め、すべての拝所(ふだんは参拝しない拝所も)や、火の神を拝み、豊作を感謝する。

各家庭で、お祭りをし、午後からは割当てられた御嶽や拝所に詣でる。
この時は縄を約十メートル位と酒肴を持参して供える。

縄は拝所の周囲に張りめぐらす。この日は、トゥブリ(海岸の出入口)の小道の清掃も行い、トゥブリの神も拝む。

これはマッツーに竜宮の神が来られて種蒔きをされるので、道を開いておこうという意味だといわれている。

九月プーリ゚

旧暦九月九日の重陽の節句で、九月ウプナカともいう。
各御嶽に司、二才頭、プシャ、長老達が集まり、酒肴をお供えして豊作を祈願する。

酒やお重に菊の菜を入れて祝う。

八月御願

旧暦八月に行われる豊年祭で八月踊りともいう。

日取りは両字長、二才頭などが集まり、十五夜の日と重なることを避けて決定する。
初日は伸筋、二日目は塩川、三日目は「別れ」といって両字同日に行う。踊りの場所は、仲筋が土原ウガム゚、塩川がピトウマタウガム゚である。仲筋の初日の日に両手とも朝早く二才頭、字長及び有志が各御嶽に行き豊年を祈願する。

明治初期頃迄は納税皆納祝ともいわれていた。
穀税や反物税を完納してこれを喜びあい、更に豊作を祈願するという意味の祭りだったようである。

秋祓い

立秋の日に字単位で行う、外部からの疾病や魔を祓いのける厄祓いの行事である。

仲筋字はアマガー、塩川字はシュガーガ一において行う。
字長と、字行事の推進役である実行員が中心で行い、字有志が集う。
豚を屠殺して御嶽にお供えし、その骨を綱にはさんで村の入口のポーグ(抱護)に道路を横断してぶら下げる。
この豚のことをスマフシャリワーといい、その綱をスマフシャリンナという。
この時の綱は左綱である。

昭和の初期頃までは豚の皮を小刻みにして各戸に配り、門に下げていた。この行事をスマフシャラともいう。

クムリ゚ウガム゚

旧暦の六月に各御嶽で行う。ム゚プーリ゚(芋)ともいう。
司、二才頭を中心に長老達が、酒肴を持参して御嶽に集まり、一夜こもって豊年を祈願する。
司がお祈りをする問は正座して合掌し、黙とうする。

このお祈りの間にお線香を三回立てる。翌朝は酒肴をお供えして来年の豊作を祈願する。

また、花芋を洗ってお供えし、ブシャが捕まってきた魚をお供えする。

スツウプナカ

旧暦五月に豊年の感謝と祈願を主にした祭りである。

旧正月後初めの「みずのとみ」の日にプシヤ座において予算会(ティパズミウガン、手始めの御願)が持たれ、次の「みずのえたつ」「みずのとみ」の日に祭りは行われる。祭場は、ナガシガー、フダヤー、パイドニ、アレーキの四ケ所である。

「みずのえたつ」の日を神の日として各祭場毎に祈願祭をやり、「みずのとみ」の日は人の日として、各界の代表者を各祭場毎に招待して、祈願祭と祝宴を行う。

粟プーリ゚

旧暦四月の「きのえ」または「つちのえ」の日に行う。栗の初穂祭りの結願である。
内容は麦プーリ゚と同じである。

現在は、あわ、きび、たかきびは栽培していないので、粟ミスの代わりにお米のミスを造っている。

麦プーリ゚

旧三月の「きのえ」または「つちのえ」の日に行う。麦の初穂祭りの結願である。
各御嶽毎に行う。

ブシャ(補佐)がミス(神酒)を造り、二才頭は各戸から徴集したお金で祭りの準備をする。

当日は司、二才頭及び長老達が御嶽に集まり、豊年を祈願する。